2022年9月、専攻学術奨励金の助成を受けて、インドネシア・ジャカルタでフィールド調査を実施しました。ジャカルタは、人口1000万人以上を抱える大都市です。電子決済やデリバリーサービスなどは日本よりはるかに進んでいる一方で、大気汚染や交通渋滞、地下水および河川の水質悪化は深刻な都市問題となっています。
今回の調査の目的は、2020年1月に発生した洪水について、特に浸水の影響を受けたとされる西ジャカルタにて住民を対象とした質問票調査を行いました。
より細い路地へ踏み込んでは、井戸端会議中のお母さんや道の端に佇んでいるお父さんに「permisi~!」と声をかけ、通訳を介して質問に答えてもらいます。取り上げたのが、ここ数年で最も大きな被害を出した洪水だったこともあり、皆さん当時の様子を詳しく教えてくださいました。また、気さくなお母さんたちは、私たちが「飲料水について教えてください」と言えば、家の中からわざわざボトル水を持ってきて分けてくれて、ある時は「次は私ね!」とインタビュー待ちの列ができるなんてことも。日本で考えたスケジュールは何一つその通りになりませんでしたが、実際に来てみないと分からないことがあり、私たちが研究対象としている場所には人々の生活が当たり前にあるのだと、強く実感することができました。