2019年3月に専攻学術奨励金の助成を受け、バングラデシュ地方都市であるクルナ市スラムを訪問しました。都市部に多く点在するスラムでは、トイレを複数の家族で使用することが多く、その管理や維持が難しいことが現状です。今回の訪問は、共同トイレ利用者が自発的に管理を行おうという意識を持てるような介入実験の予備調査をすることが目的でした。実験は、5人の参加者にタブレットを1台ずつ持ってもらい、5人が同じ額の所持金を持つという設定で、自分なら共同トイレ掃除にいくら出資するかをタブレット上で選んで送信してもらうことを複数回繰り返す、という内容です。お金を出さないでいるほうが得するようにみえるけれど大きな損失を被ってしまうかもしれない、誰が協力するかはわからないけど、それでも協力したほうが長い目でみたら得なのかもしれない、という感覚を体験してもらえるようなゲームを目指しています。今回の結果や参加者からのフィードバックをもとに、今後内容を改善していく予定です。
必死でタブレットの使い方を習得した私は、意気揚々と現地に向かいながらも、タブレットの操作は皆さん大丈夫だろうか、拒否されたらどうしよう、と少々不安になりました。現地で協力してくださる方に話したところ、「うーん、みんなタブレットよりスマホのほうが慣れてていいけど大丈夫!」とのこと。なんと。操作が一番怪しいのは私のほうだったのでした。
写真は、実験が始まる前にゲームの進行をして下さる方が画面の説明をしてくださっているところです。